「なんでそんなことで泣いちゃうの?」「少しの音でも驚くのはなぜ?」と感じることはありませんか?
もしかすると、感覚過敏という気質のサインかもしれません。
感覚過敏は、脳の情報処理の仕方や気質によるもので、親の育て方が原因になるわけではありません。
でも、「なんだかつらそうだな」と感じるとき、無理に慣れさせようとするのではなく、安心できる環境を整えることがとても大切です。
この記事では、感覚過敏の特徴やチェックリスト、その子らしく過ごすためにできるサポート、相談先などをやさしく紹介していきます。
感覚過敏をもつ方や周囲の人たちが、少しでもホッとできるヒントが見つかりますように・・・

感覚過敏とは?

感覚過敏とは、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に入ってくる刺激をとても強く感じてしまう状態を意味します。
まぶしい光や大きな音、衣類のタグなど、他の人には気にならない刺激が、強いストレスになってしまうことも・・・
これは性格の問題ではなく、脳の感じ方の違いによるものです。
個人によって感じ方には大きな差があるので、本人が受けた感覚を、大切に受け止めていくことが必要になっていきます。

感覚過敏のよくある特徴

| 日常生活での困りごと(子どもの例) | 感覚 |
|---|---|
| 教室のざわざわやチャイムの音がつらい、掃除機やトイレの音にびくっとする | 聴覚 |
| 明るい蛍光灯がまぶしすぎる、光のちらつきが気になる | 視覚 |
| 給食のにおいが強くて気分が悪くなる、香水や洗剤のにおいが苦手 | 嗅覚 |
| 特定の食感が苦手で、食べられるものが限られる | 味覚 |
| 服のタグや靴下の縫い目が気になって、着替えに時間がかかる | 触覚 |
感覚過敏は、成長とともにその現れ方が少しずつ変化し、年齢によって気になる刺激や反応の仕方、必要なサポートも異なっていきます。
感覚過敏が起こる原因
感覚過敏は、脳の情報処理の仕方やストレスに関係していると考えられています。
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)から受け取った情報を脳が「重要なもの」として強く受け止めすぎてしまうため、他のひとが気にならない刺激でも、過敏になります。
個人差はありますが、多くの場合、年齢が上がるにつれて刺激への慣れや対処法が身につき、困りごとが軽くなっていく傾向が見られます。
育て方は感覚過敏に関係する?

- 否定される体験は、不安を強める
- 「受け入れてもらえる安心」がパワーになる
- 育て方は、「安心感」に影響する
感覚過敏は、生まれ持った気質や脳の情報処理の仕方に関係しており、親の育て方が原因というわけではありません。
ただ、周囲の関わり方が、子どもの感じ方や行動に、よくも悪くも影響を与えます。
育て方は、感覚過敏そのものをなくすものではありませんが、敏感さとうまく付き合っていけるような土台になっていきます。
「気にしすぎ」と否定せずに、本人の感じ方を共感してみましょう!
否定されたという経験が、本人のなかで積み重なると、自分の感覚に対して自信が持てなくなってしまいます。
「つらいね」「よく気づいたね」と共感してもらえると、安心感につながっていきますよ。
年齢別にみる感覚過敏の特徴

感覚過敏は、成長とともにそのあらわれ方が少しずつ変化していきます。
幼いころは言葉でうまく伝えられなかったことが、小学生になると「音がイヤ」と言葉にできるようになり、中高生では「どう付き合えばいいか」を考えられるようになる人もいます。
ここでは、幼児期から大人までのステージごとに、感覚過敏の方の傾向や周囲のサポートで大切なことを紹介していきます。
幼児期(0〜6歳)
- 音や光、触覚などあらゆる感覚に対して過敏さが強く出やすい時期。
- 発語が遅れたり、癇癪が多かったりするケースも。
- 発達段階としては自然な範囲であることも多いため、周囲の理解と安心できる環境が重要。
この時期は「安心感」が何より大切です。
無理に慣れさせるのではなく、抱っこや静かな空間の確保など、子どもの反応を受け入れてあげることを意識しましょう。
小学生(6〜12歳)
- 学校生活の中で音やにおい、人との距離感などに敏感さが表れることも。
- 友達関係や学習への影響が出る場合もあり、個別対応が求められる。
- 支援や工夫により、徐々に自己理解やコントロール力が育ちやすくなる時期。
学校や家庭での情報共有が、とても重要な時期です。
先生や保護者が協力し、感覚に合った過ごし方を一緒に見つけていくことで、子どもの安心感につなげましょう。
中学生・高校生(13〜18歳)
- 思春期のストレスが重なることで、一時的に過敏さが強まることも。
- 自己理解や回避・調整のスキルが育ってくる時期。
- 自分で対処法を選べることができる。
周囲の大人は、アドバイスよりも「相談相手」になる意識を持つことが大切です。
自分で選ぶ力を尊重し、過敏さとの向き合い方を一緒に考えていくことが支えになります。
大人(18歳〜)
- 感覚の傾向は基本的に続くが、生活経験からの「慣れ」や「工夫」で楽になる人も多数。
- 社会生活でのストレスなどが原因で、再び強く反応が出るケースもある。
職場や家庭での理解が得られると、過敏さが大きな負担になりにくくなります。
自分自身でも「つらさを言葉にする力」を育てながら、環境調整を周囲と一緒に行っていくことがカギとなるでしょう。
感覚過敏のチェックリスト

日々のちょっとした「気になる」が、感覚過敏の小さなサインかもしれません。
そう思ったときこそ、今の様子を立ち止まって見つめ直してみるタイミングです。
チェックリストは、親自身が気づきを得たり、専門家に相談する際のヒントとなる診断リストです。
気軽な気持ちで、ありのままの姿をチェックしてみましょう。
以下のような反応が日常的に見られる場合は、感覚過敏の傾向があるかもしれません。
| チェック項目 | □ はい / □ いいえ |
|---|---|
| 音が大きすぎる場所が苦手で、手で耳をふさぐことが多い | □ はい / □ いいえ |
| 蛍光灯や太陽の光がまぶしすぎて目を細める | □ はい / □ いいえ |
| においに敏感で、給食や人混みで気分が悪くなることがある | □ はい / □ いいえ |
| 服のタグや靴下のゴムが気になって、すぐに脱ぎたがる | □ はい / □ いいえ |
| 食感や味が苦手な食べ物が多く、偏食気味である | □ はい / □ いいえ |
| 他の子が気にしないことでも「こわい」「いや」と強く反応する | □ はい / □ いいえ |
| 髪をとかすときに痛がる、頭を触られるのを嫌がる | □ はい / □ いいえ |
| 靴下や靴の履き心地に強いこだわりがある | □ はい / □ いいえ |
| 濡れる・汚れる感覚を極端に嫌がる(雨、泥など) | □ はい / □ いいえ |
| 特定のにおいを嫌がり近づけない(たとえば歯磨き粉や料理) | □ はい / □ いいえ |
| 人混みやにぎやかな場所に行くとすぐに疲れる | □ はい / □ いいえ |
| 突然の物音(掃除機、トイレの水、ドアの音など)に過剰に反応する | □ はい / □ いいえ |
チェックシート判定の目安
「はい」 が6つ以上当てはまる場合は、感覚過敏の傾向が見られる可能性があります。
日常生活で「つらそうだな」「苦手が多いな」と感じたら、無理に慣れさせようとするのではなく、その子に合った環境を整えることが大切です。
感覚過敏は治療が必要?受診できる診療科

感覚過敏は、完全に治るものというよりも、「うまく付き合っていく」ことを目指すほうが現実的です。
脳の特性や感覚の感じ方が変わることは少ないですが、安心できる環境が整ったり、自分に合った対処法が見つかったりすることで、困りごとが軽くなっていくケースも多くあります。
年齢とともに刺激に慣れたり、自分の感覚との付き合い方が身について、日常生活がぐっと過ごしやすくなる人もいます。
焦らず少しずつ、困りごとを減らす工夫を続けていきましょう。
感覚過敏を治療する薬はある?
感覚過敏そのものを治すための特効薬は、現時点では存在しません。
感覚過敏は脳の感じ方や情報処理の仕方によって起こるため、基本的には環境を整えたり、安心できる人との関係づくりが主な対応となります。
ただし、感覚過敏によって不安や緊張、睡眠の問題などが強く出ている場合など、医師が必要と判断したときには、症状をやわらげる薬が処方されることもあります。
「感覚過敏」受診するなら何科?

感覚過敏かなと悩んでいたら、まずは、かかりつけの小児科で相談してみましょう。
小児科で様子を伝えることで、必要に応じて児童精神科や発達外来、小児神経科などを紹介してもらえることがあります。
| 診療科 | 内容 | 備考 |
| 小児科 | 最初の相談窓口。必要に応じて他科へ紹介 | かかりつけ医があると安心 |
| 児童精神科 | 心の不調や不安、睡眠の問題などに対応 | 地域の専門機関に紹介される場合あり |
| 発達外来 | 感覚の困りごとや発達の偏りを総合的に診る | 予約制・待機が長いことも |
| 小児神経科 | 神経や感覚の専門的な評価を行う | 一部の大きな病院に設置されている |
困ったときに相談できる窓口

地域によっては、発達支援センターやこども家庭支援センターが窓口となって、医療・保育・福祉などと連携した支援を案内してくれる場合もあります。
「どこに相談したらいいかわからない」と感じたときは、お住まいの自治体にある保健センターに問い合わせると、地域の相談先を教えてもらえることが多いです。
| 窓口名 | 主な相談内容 | 備考 |
| 市区町村の発達支援センター | 発達・感覚面の困りごと全般 | 地域の支援制度も案内してもらえる |
| 保健センター | 発育・健康・子育て全般 | 乳幼児健診などで相談可能 |
| 小児科・児童精神科 | 医学的な評価や支援の紹介 | 紹介状が必要な場合もある |
| 幼稚園・学校の先生や支援担当 | 日常生活での様子や配慮について | 家庭との連携が子どもを支えます |
| スクールカウンセラー・教育相談 | 学校での困りごとや不安への支援 | 予約制のこともあるので確認を |
発達障害と感覚過敏の関係

感覚過敏という言葉を聞くと、「うちの子は障害なのでは?」と不安になる方も多いかもしれません。
しかし、感覚過敏そのものは、医学的に“障害”と診断されるものではなく、「感じ方の特性」として理解されています。
また、HSC(ひといちばい敏感な子ども)の方は、音・光・におい・肌ざわりなど、私たちが普段あまり気にしないような刺激に、とても強く反応することがあります。

感覚過敏=発達障害ではない
感覚過敏は、発達障害(ASDやADHDなど)の一部として現れることもありますが、HSCのように発達に遅れがない子どもにも見られる特徴です。
つまり、「感覚過敏がある=障害」というわけではありません。
感覚の感じ方には、それぞれ個性があります。診断名がつかなくても、生活の中で困りごとがあれば、それに応じた配慮やサポートが必要になる場合もあります。
「障害かどうか」よりも、「その子が安心して過ごせているか」を大切に考えていくことが大事です。
◆ASD(自閉スペクトラム)とは?
ASDとは、発達障害のひとつで、かつては「自閉症」や「アスペルガー症候群」などと呼ばれていましたが、近年は「自閉スペクトラム症」と呼ばれています。
コミュニケーションや対人関係、興味や関心の偏りといった特徴を持っています。
ASD(自閉スペクトラム)の人は、音、光、触覚、匂い、味など、様々な感覚刺激に対して過敏になることがあります。
◆ADSD(注意欠陥多動性障害)とは?
ADHDとは、発達障害のひとつで、注意欠如多動障害の略になります。
不注意、多動、衝動性など、主な3つの症状が特徴です。
ADHD(注意欠陥多動性障害)と感覚過敏は、脳の発達上において、密接に関連しているとされています。
ADHDの特徴を持つ人の多くは、感覚過敏を経験することが多いです。

不安なときは一人で抱えず相談しよう
不安なときは、1人で抱え込まず相談してみましょう!
「障害かどうか」だけで判断するのではなく、「子どもがどんなことに困っていて、どうすれば安心して生活できるか」に目を向けてみましょう。
発達支援センターや小児科での相談は、支援や配慮の対象となることがあり、困りごとの軽減に向けた第一歩になります。
不安な気持ちを誰かに話すことで、あなた自身の支えになる心強い味方になっていきますよ。
感覚過敏を持っている方へのサポート方法

感覚過敏は、見た目ではわかりにくいため、周囲の理解がないと「わがまま」「甘えている」と誤解されやすい一面があります。
理解されない、言っても否定される状態が続くと、だんだん自分に自信がなくなっていきます。
自信がなくなっていくと、行動できなくなったり、症状が強くなったりするので、なるべく早めにサポートしてあげるようにしましょう!
- 苦手な刺激を避けられるよう、子ども自身にも「どんなときにしんどくなるか」を一緒に話して整理してみる
- 安心できるお気に入りの物(ぬいぐるみ、イヤーマフ、香りのハンカチなど)を持たせる
- スケジュール変更など不安要素がある日は、事前に伝えて心構えを作れるようにする
- 「できたこと」を認めて自己肯定感につなげる
感覚過敏への対処法
| 感覚過敏のタイプ | 困りやすいこと | 家庭でできる対処法 |
| 聴覚 | 大きな音や突然の音が苦手 | ノイズキャンセリングヘッドホン、静かな場所の確保 |
| 視覚 | 明るすぎる光がまぶしい | 間接照明やカーテンで光をやわらげる |
| 嗅覚 | においで気分が悪くなる | 無香料の洗剤や柔軟剤を使う、換気する |
| 味覚 | 食感や味に強いこだわり | 無理に食べさせず食べられるものを工夫する |
| 触覚 | 衣類のタグや肌ざわりが気になる | タグを切る、綿素材など心地よい服を選ぶ |
「困っている」ことに気づく姿勢を持つ
困っていたら、寄り添ってみよう!
「こだわり」じゃなく「困っている」かもしれない・・・
子どもが何かに過敏に反応しているとき、それを「こだわりが強い」と片付けてしまうのではなく、「何かに困っているのかもしれない」と気づけるかが大切です。
子ども自身も、自分の感覚を言葉で表現できないことが多くあります。
周囲の人が、子どもの気持ちを代弁するような声かけをすることで、「理解してもらえる」という安心感につながっていきます。
【声かけの例】
・音にビックリしていたら、「音大きかった?」と共感してみる
・強い光に反応していたら、「まぶしかったね」と気持ちを代弁してみる
家庭と学校の連携でサポートしよう
わかってもらえる「安心感」をつくろう!
感覚過敏は、家庭だけでなく、学校でも大きなストレスに感じることが多くあります。
家庭での様子を先生に伝えたり、学校での配慮(静かな場所での休憩、光や音への配慮など)を相談することで、子どもが安心して過ごせる時間が増えていきます。
保護者と学校がチームになって、みんなで子どもをサポートしていきましょう!
【声かけの例】
・教室では、なるべく静かな場所に座らせてもらう
・チャイムや集団行動の前に、耳栓などで音を軽減させる
否定はNG!理解しようと寄り添うことが重要
「できる」より、まず「安心できる」が大切!
「どうしてできないの?」ではなく、「どうすれば安心できるか」と一緒に考えてあげることが、子どもにとって何よりの支えです。
困っていることを否定せず、寄り添うことで、子どもにとって「自分の感覚は大切にされている」と感じられるようになっていきます。
家庭でも学校でも、子どもの感じ方に寄り添った環境づくりを心がけるようにしましょう。
【声かけの例】
・「できなくても大丈夫」と初めに伝えて、安心させる
・子ども自身に「どうしたら落ち着く?」と声をかけて、一緒に方法を考える
感覚過敏についてのまとめ
HSCの子どもたちは、音や光、におい、服の肌ざわりなど、ちょっとした刺激にも大きく反応してしまうことがあります。
「感覚過敏」は、その感じ方の強さが表に出ているだけで、決して甘えやわがままではありません。
親の育て方が原因ではなく、生まれ持った気質や脳の働きが関係していることを知ることで、子どもを見る目が少しやさしくなれるかもしれません。
大切なのは、「どうすればこの子が安心できるか」を一緒に考えてあげること。そして、家庭や学校、地域が少しずつつながって、その子の“安心の場所”を増やしていけるような関わりをしていくことです。
この記事が、敏感な子どもと向き合う日々のヒントや、見守る人の心の安心にもつながるきっかけになればうれしいです。

